「 高張力鋼板(ハイテン) 」について

                      〔日経 H14.01.15付〕
                         〔次世代素材、負荷価値競う/高張力鋼板〕編より

より薄く、より軽く、より頑強に・・・・自動車メーカーからの受注合戦にしのぎを削る鉄鋼メーカーが開発に
注力するのが高張力(ハイテン)材だ。
 ハイテン材とは鉄にマンガンやシリコンなどを加え、冷却工程で強度を強めた鋼板。通常の鋼板が一平方ミリ
メートル当たり30キロ未満の力にしか耐えられないのに対し、ハイテン材では、100キロの重みに耐えられる製
品も登場している。
 車の枠組みをつくるフレーム部などに使われ、現在は1台の小型自動車に使う鋼材の中で、30%前後をハイテ
ン材が占める。
 需要が伸びたのは「地球温暖化防止の機運が世界的に盛り上がった1990年代半ば以降」(新日鉄)。自動車
メーカーが自動車の排ガスを減らす為に車体の軽量化を進めると同時に、乗員の安全という観点から衝突安全性
の向上というテーマを追求する必要に迫られたためだ。
 ハイテン材は強度に優れる一方で、固くて加工しにくいのが難点。このため鉄鋼メーカー各社は特許合戦を繰り
返しつつ、曲げたり穴をあけたりする加工性の向上に躍起だ。
 「開発努力を怠ると、アルミニウム薄板など他の素材に需要を奪われる」(NKK)との危機感もある。鉄鋼メーカーに
とって最大の魅力はその収益性。「通常の鋼板に比べ1トンあたり三万円近く高く納入できる」(神戸製鋼)ため通常
の鋼板では自動車の値下げ要求にさらされている鉄鋼メーカーにとってはまさに救世主的な存在だ。

 2005年には自動車用鋼板の 50%がハイテン材に置き換わるとの強気の見方も出始めている。

  

◇国内自動車産業の動向と鋼板・ハイテン材の需要見直し (神戸製鋼所推計)
   99年度 02年度 05年度
完成車生産台数 990
  万台/年
950
  万台/年
950
  万台/年
自動車向け鋼板量の内
ハイテン材比率
20% 30% 50%


 

「高張力鋼板」で安全確保、
    2〜3割の減量可能に

                  〔日経 H14.02.01付〕より

◇鉄でも超軽量車

 自動車の鉄製部材に高張力鋼板を全面的に採用すると、衝突安全性を確保しながら現在よりも車体を2〜3割
軽量化できることが世界の鉄鋼メーカーの共同研究で分かった。
 自動車軽量化を巡っては、アルミニウムや樹脂製品などと素材間競争をしている。鋼材の最大の顧客である自
動車メーカーに鉄でもさらに軽量化が可能なことを示し、受注拡大を図る。
 研究には新日本製鐵、NKK、神戸製鋼所を含む世界33社が参画。ボディー、エンジン、内装など車体全体の
設計を実施し、鉄を使った軽量車両をシュミレーションした。鉄製部品のほぼすべてに軽く、強度に優れている高
張力鋼板を使ったほか、部品点数を減らすため特殊な加工法も多用した。

 車両重量は 小型乗用車(ガソリン車、1500CCクラス)で 19%
         普通乗用車(ガソリン車、2500CCクラス)で 32% 軽くなる。
衝突安全性や二酸化炭素の排出規制は欧米の基準を十分にクリアできるという。

製造コストは 9,000〜10,000$(120万〜130万円)程度で、「既存の車両に比べて競争力がある」(新日鉄)
とみている。



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