便利手帳

購買担当者様向け スチールユニオン独自の便利手帳

購買担当者様のお役に立てる情報を記載しております。
鋼板の鋼種別機械的性質についての内容です。ぜひご活用ください。

機械的性値とは

鋼材の「機械的性値」とは、引張強さ、衝撃値、硬さ、降伏点(又は耐力)、伸び、絞りなどの機械試験によって示される材料特性をいう。又、「機械試験」には、引張試験、衝撃試験、かたさ試験、杭析試験、曲げ試験などの鋼材の機械的性質を測定する方法を言う。
薄板の機械的性値(特性値)を調べるための方法としては、「引張試験」が一般的である。
「引張試験」(Tensile Test)とは、材料の形状や材質に従って定められた試験片に引張荷重をかけ、その歪みと変形を測定して基本的な機械的性質=例えば弾性限度、比例限度、弾性係数、降伏点、最大強度、破断強度伸び、絞りなど=を知るための試験をいう。これらの機械的性質(特性)の中でも、特に降伏点、最大強度(引張強さ)、伸びの3点が鋼板の性質(特性)を現す代表的なものとされている。
(1)降伏点[Yield Point=YP]
引張試験において、試験片が降伏現象を示す応力をいう。
(2)最大強度(引張り強さ)[Tensile Strength=TS]
試験片が切断するまでに耐えた最大応力をいう。
(3)伸び[Elongetion=EL]
材料に引張力を加えたときの軸方向における長さの増加をいう。即ち、一定評定距離間の加力前の長さに対する荷重破断後の増加分の割合をパーセントで現す。

薄板の規格別主要用途について

熱延鋼板、冷延鋼板の代表的規格別の適用例(JIS:1999年版より抜粋)
適用 熱間圧延軟鋼板 冷間圧延鋼板 備考
一般用 sphc spcc 平板または折り曲げ程度の加工
絞り用 sphd spcd 軽い絞り加工
深絞り用 sphe spce 比較的深い絞り加工
自動車用 構造用加工 saph310~440 spfc340~980 一般的には
○絞り加工用 <370
○加工用 390~500
主として自動車用
加工性の良い高張力鋼板
高張力鋼板 safh490~590

新計量法とSI単位化について

1.新計量改正の概要
  • 1875年にメートル条約締結、現在はメートル法による単位統一がなされている。
    しかし、メートル法の中に数種の単位系が併存→1960年(S35)に国際度量衡総会で原則「一量一単位」の世界共通の国際単位系(SI)が採択された。
    日本では、1992年(H4)5月14日に約40年ぶりの大改正が通常国会で可決成立し同年5月20日に公布された。
2.SI (System Internetional & Units)=[Systeme Internatinal d’Unites]
  • 組立単位
組立単位 cgs単位、mks単位…ガウス絶対単位系

統一「si」
  • SI内容;例えば下記の単位
基本単位 長さ メートル m(クリプトン86 2P10→5d5波長×1,650,763.73倍)
質量 キログラム kg(国際キログラム原器の質量と同じ)
時間 S(C3 133)
電流 アンペア A
熱力学温度 ケルビン K
物質量 モル mol
光度 カンテラ Cd
補助単位 平面度 ラジアン rad
立体角 ステラジアン Sr
3.非SI単位の使用猶予予期期間終了後は、非SI単位の使用は禁止。
  • 第3期猶予期間(~1999(H11).9.30)
1(Kgf) 9.8(N)
圧力 1(Kgf/cm2 0.098(Pa)
トルク 1(Kgf m) 9.8(Nm)
熱量 1(Cal) 4.2(J)
4.具体的な影響
  • 鉄鋼製品の機械的特性値。特に引張強度、降伏点の単位

kg/mm2→N/mm2なる。
従って単位は一般的には、N(ニュートン)となるがMpa(メガパスカル)でも良いことになる。

鉄鋼材料規格のSI単位切換指針について

JISハンドブック1-2、1999年版より抜粋

項目 切換単位 切換係数 切換方法
応力の切換 kgf/mm2

N/mm2、MPa
9.806 65 (1)ISOで定めている当該JISに対応する
国際規格で用いているものによる。
必要に応じ次の例示による注記を入れる。
1MPa=1N/mm2又はこの逆

(2)引張強さは10N/mm2(MPa)とび
降伏点、耐力は5N/mm2(MPa)とび
高温強度は1N/mm2(MPa)とび
とする。
(丸め方はJIS Z 8401による。
ただし、5N/mm2は2捨3入、7捨8入とする。)
耐力値を5単位に換算する方式
手順1:従来単位に9.80665を掛け、その値を2倍する。
手順2:JIS Z 8401に従い、
必要な単位(100又は10若しくは1.0)に丸める。
手順3:手順2で求めた値を2で割る。
[換算例]
手順1:37×9.80665×2=725.6921
手順2:725.6921→730
手順3:730÷2=365
[換算後の値]

(3)全規格について鋼種ごとの数値をチェックし
問題の有無を確認する。
SS41の引張強さの場合
41~52kgf/mm2
→400~510N/mm2
(402~510N/mm2

SS 41の降伏点,耐力の場合
22kgf/mm2
→215N/mm2
(216N/mm2
質量の表現 現行JISで質量の意味で用いている重量は質量に改める。
規格の呼び方 (1)“力”ベースで呼ぶものは変える。
(2)力以外で暗号化しているものは変えない
(1)SS41→SS400
(変える)
(2)STBA23→STBA23
(変えない)

ミリ単重表(kg/mm)コイル内径、外径

( )内はインチ
内径 300 400 (20')
508
528 558 600 (24')
609.6
700 (30')
762
800
外径
500 0.99 0.55
550 1.31 0.66 0.27 0.15
600 1.66 1.23 0.63 0.5 0.3
650 2.05 1.62 1.01 0.89 0.58 0.39 0.31
700 2.46 2.03 1.43 0.3 1.1 0.89 0.73
750 2.91 2.49 1.88 1.75 1.55 1.25 1.16 0.45
800 3.39 2.96 2.35 2.23 2.03 1.73 2.16 0.92 0.37
850 3.9 3.47 2.86 2.73 2.53 2.23 2.16 1.43 0.87 0.51
900 4.44 4.01 3.6 3.27 3.07 2.77 2.7 1.97 1.41 1.05
950 5.01 4.53 3.97 3.84 3.61 3.34 3.27 2.54 1.99 1.62
1000 5.61 5.18 4.57 4.44 4.24 3.94 3.87 3.14 2.58 2.02
1050 6.24 5.61 5.2 5.08 4.08 4.58 4.5 3,77 3.22 2.85
1100 6.9 6.47 5.87 5.74 5.54 5.24 5.17 4.43 3,88 3.51
1150 7.59 7.16 6.56 6.43 6.23 5.93 5.86 5.13 4.21
1200 8.32 7.89 7.29 7.16 5.95 6.66 6.56 5,85 4.83
1250 9.07 8.64 8.04 7.91 7.71 7.41 7.34 6.61 6.05 5.63
1300 9.88 9.43 8.82 8.7 8.5 8.2 8.12 7.39 6.47
1350 10.68 10.24 9.64 9.51 0.31 9.01 8.92 8.21 7.65 7.29
1500 13.31 12.83 12.27 12.15 11.95 11.65 11.58 10.85 10.29 9.92
1550 14.25 13.68 13.21 13.02 12.89 12.59 11.78 11.23 10.85
1600 13.22 14.19 14 13.89 13.55 13.49 11 12 1184
1650 16.22 15.7 15.15 15 14.89 14.55 14.49 13.23 12.83
1700 17.25 16.53 16.22 16 15.89 15.59 14.23 13.87
1750 18.32 17.69 17.98 17.16 16 11.03
1800 19.41 18.98 18.26 18.25 18.05 17.75 17.58 15.05 16.39 16.02
1850 20.54 20.1 19.5 19.37 19.17 18.89 18.7 18.07 17.51 17.15
1900 21.69 21.26 20.66 20
1950 22.88 22.45 21.84 21.71 21.51 21.21 21.94 19.85 19.49
2000 24.09 23 23 22.93 22.73 22.43 22.35 21.07 21.07 20.71

環境対応型表面処理鋼板について

鉄鋼新聞:H13.1.10付より抜粋

<グリーン調達について>
家電、事務機、自動車などのメーカーはここ1〜2年、原材料のグリーン調達を促進させている。
一つの製品が造られ、使われ、廃棄されるまでの一連のライフサイクルの中で、リユース・リサイクルや環境負荷軽減が出来る原材料を優先的に調達(購入)して使用していこうという動きだ。
欧州連合(EU)は08年から、電気・電子機器に六価クロムや鉛、水銀、カドミウムなど環境負荷物質が含まれている製品の廃棄を全面禁止する規制を施行する。

<クロメートフリー鋼板について>
新日本製鐵はソニー、松下電器向けなど、NKKはリコー、川崎製鉄は富士ゼロックスのそれぞれ複写機向けなどに、住友金属工業はNEC向けパソコン向けや富士ゼロックス向けなどに、神戸製鋼、日新製鋼などもOA機器、事務機器向けにそれぞれクロメートフリー鋼板の出荷を開始した。
電気亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板、プレコート鋼板などは、耐蝕性を一段と高めるために亜鉛めっきの上にクロム化合物(クロメート)による約0.1µ程度の極薄皮膜処理を施してきた。しかしこのクロメート分が水分などで流されると、人体や環境に害となる六価クロムが発生する可能性もあるとして、ユーザーから「クロメートではない化合物で耐蝕性・後処理してほしい」との要請が鉄鋼各社にも寄せられてきた。このため高炉各社は数年前から開発を進め、98年秋にかけてほぼ一斉にクロメートフリー鋼板の実用化を図った。「クロメートを使うと、薄膜で耐蝕性と導電性を両立できたが、クロメートフリーでは導電性の保持が難しかった。」(高炉)が、それもクリアした。
高炉各社では「数年後、遅くても10年までには、後処理鋼板の全量がクロメートフリー鋼板に切り替わる」と推測する。このため、高炉各社では、クロメートフリー鋼板を電気亜鉛めっき鋼板だけではなく、ユーザーニーズに対応していく方針だ。今後、自動車、建材などにも拡大するのは必至で、クロメートフリー鋼板は後処理鋼板の“代名詞”になりそうだ。

高炉各社の電機向け環境対応型表面処理鋼板
クロメートフリー鋼板 鉛フリー鋼板 その他
新日鉄 ジンコート21
(電気亜鉛めっき鋼板)
エコトリオ
(ニッケル・亜鉛・錫三層めっき鋼板)
潤滑鋼板
(電気及び溶融亜鉛めっき鋼板)
シルバージンク21
(溶融亜鉛めっき鋼板)
エココート-T
(錫・亜鉛めっき鋼板)
ビューコート
(プレコート鋼板)
NKK ジアフロンティアコート
(電気及び溶融亜鉛めっき鋼板)
クロムフリーエクセルコート
(プレコート鋼板)
川崎製鉄 リバージンクFCシリーズ
(電気及び溶融亜鉛めっき鋼板)
KTU-XV
(超深絞り鋼板)
住友金属工業 スミジンクFCシリーズ
(電気亜鉛めっき鋼板)
Sコート
(潤滑処理鋼板)
タフジンクNEOコート
(溶融亜鉛めっき鋼板)
SZ-GTX
(亜鉛・ニッケルめっき鋼板)
住友ハイコート
(プレコート鋼板)
神戸製鋼 コーベジンクグリーンコート
(電気及び溶融亜鉛めっき鋼板)
エコスチール
(高意匠ラミネート鋼板)
日新製鋼 月星ジンクZC処理
(電気亜鉛めっき鋼板)溶融も予定
テクスター
(プレコート鋼板)

高張力鋼板(ハイテン材)について

日経:H14.01.15付[次世代素材、負荷価値競う/高張力鋼板]編より

より薄く、より軽く、より頑強に・・・・
自動車メーカーからの受注合戦にしのぎを削る鉄鋼メーカーが開発に注力するのが高張力(ハイテン)材だ。ハイテン材とは鉄にマンガンやシリコンなどを加え、冷却工程で強度を強めた鋼板。通常の鋼板が一平方ミリメートル当たり30キロ未満の力にしか耐えられないのに対し、ハイテン材では、100キロの重みに耐えられる製品も登場している。車の枠組みをつくるフレーム部などに使われ、現在は1台の小型自動車に使う鋼材の中で、30%前後をハイテン材が占める。需要が伸びたのは「地球温暖化防止の機運が世界的に盛り上がった1990年代半ば以降」(新日鉄)。自動車メーカーが自動車の排ガスを減らす為に車体の軽量化を進めると同時に、乗員の安全という観点から衝突安全性の向上というテーマを追求する必要に迫られたためだ。ハイテン材は強度に優れる一方で、固くて加工しにくいのが難点。このため鉄鋼メーカー各社は特許合戦を繰り返しつつ、曲げたり穴をあけたりする加工性の向上に躍起だ。「開発努力を怠ると、アルミニウム薄板など他の素材に需要を奪われる」(NKK)との危機感もある。鉄鋼メーカーにとって最大の魅力はその収益性。「通常の鋼板に比べ1トンあたり三万円近く高く納入できる」(神戸製鋼)ため通常の鋼板では自動車の値下げ要求にさらされている鉄鋼メーカーにとってはまさに救世主的な存在だ。
2005年には自動車用鋼板の50%がハイテン材に置き換わるとの強気の見方も出始めている。

国内自動車産業の動向と鋼板・ハイテン材の需要見直し(神戸製鋼所推計)
99年度 02年度 05年度
完成車生産台数 990万台/年 950万台/年 950万台/年
自動車向け鋼板量の内ハイテン材比率 20% 30% 50%
「高張力鋼板」で安全確保、2~3割の減量可能に

日経:H14.02.01付 より

<鉄でも超軽量車>
自動車の鉄製部材に高張力鋼板を全面的に採用すると、衝突安全性を確保しながら現在よりも車体を2~3割軽量化できることが世界の鉄鋼メーカーの共同研究で分かった。自動車軽量化を巡っては、アルミニウムや樹脂製品などと素材間競争をしている。鋼材の最大の顧客である自動車メーカーに鉄でもさらに軽量化が可能なことを示し、受注拡大を図る。研究には新日本製鐵、NKK、神戸製鋼所を含む世界33社が参画。ボディー、エンジン、内装など車体全体の設計を実施し、鉄を使った軽量車両をシュミレーションした。鉄製部品のほぼすべてに軽く、強度に優れている高張力鋼板を使ったほか、部品点数を減らすため特殊な加工法も多用した。
車両重量は 小型乗用車(ガソリン車、1500CCクラス)で 19%、普通乗用車(ガソリン車、2500CCクラス)で32%軽くなる。衝突安全性や二酸化炭素の排出規制は欧米の基準を十分にクリアできるという。
製造コストは 9,000~10,000$(120万~130万円)程度で、「既存の車両に比べて競争力がある」(新日鉄)とみている。

薄板系のJIS規格記号の意味

薄板系の主要な自動車用鋼板について(JISハンドブック、2002年度版より抜粋)

分類 規格名称 記号 記号の意味
構造用鋼 自動車用構造用熱間圧延
鋼板及び鋼帯
SAPH S:Steel A:Automobile P:Press H:Hot
一般構造用圧延鋼材 SS S:Steel S:Structure
薄鋼板・帯鋼 熱間圧延軟鋼板及び帯鋼 SPHC S:Steel P:Plate H:Hot C:Commercial 一般用
SPHD S:Steel P:Plate H:Hot D:Deep Drawn 絞り用
SPHE S:Steel P:Plate H:Hot E:Deep Drawn Extra 深絞り用
自動車用加工性熱間圧延
高張力鋼板及び帯鋼
SPFH S:Steel P:Plate F:Formability H:Hot
SPFHY S:Steel P:Plate F:Formability H:Hot Y:Yield
冷間圧延鋼板及び鋼帯 SPCC S:Steel P:Plate C:Cold C:Commercial
SPCD S:Steel P:Plate C:Cold D:Deep Drawn
SPCE S:Steel P:Plate C:Cold E:Deep Drawn Extra
SPCCT S:Steel P:Plate C:Cold C:Commercial T:Test
SPCEN S:Steel P:Plate C:Cold E:Deep Drawn Extra N:Non-Ageing
自動車用加工性冷間圧延
鋼張力鋼板及び帯鋼
SPFC S:Steel P:Plate F:Formability C:Cold
SPFCY S:Steel P:Plate F:Formability C:Cold Y:Yield
めっき鋼板 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 SGHC S:Steel G:Galvanized H:Hot C:Commercial
SGHXX S:Steel G:Galvanized H:Hot XX:引張強さ
SGCC S:Steel G:Galvanized C:Cold C:Commercial
SGCD S:Steel G:Galvanized C:Cold D:Drawn
SGCH S:Steel G:Galvanized C:Cold H:Hard
SGCXX S:Steel G:Galvanized C:Cold XX:引張強さ
電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 SEHC S:Steel E:ElectrolYtic H:Hot C:Commercial
SEHD S:Steel E:ElectrolYtic H:Hot D:Deep Drawn
SEHE S:Steel E:Electrolytic H:Hot D:Deep Drawn Extra
SEFHXX S:Steel E:Electrolytic F:Formability H:Hot XX:引張強さ
SEPHXX S:Steel E:Electrolytic P:Plate H:Hot XX:引張強さ
SECD S:Steel E:Electrolytic C:Cold C:Commercial
SECD S:Steel E:Electrolytic C:Cold D:Deep Drawn
SECE S:Steel E:Electrolytic C:Cold E:Deep Drawn Extra
SEFCXX S:Steel E:Electrolytic F:Formability C:Cold XX:引張強さ
溶融アルミニウムめっき
鋼板及び鋼帯
SA-C S:Steel A:Aluminium C:Commercial
SA-D S:Steel A:Aluminium D:Deep Drawn
SA-E S:Steel A:Aluminium E:Deep Drawn E:Extra
ステンレス鋼 熱間圧延ステンレス鋼板
及び鋼帯
SUS-HP S:Steel U:Use S:Stainless H:Hot P:Plate
SUS-HS S:Steel U:Use S:Stainless H:Hot S:Strip
冷間圧延ステンレス鋼板
及び鋼帯
SUS-CP S:Steel U:Use S:Stainless C:Cold P:Plate
SUS-CS S:Steel U:Use S:Stainless C:Cold S:Strip
参考 日本工業規格 JIS Japan Industrial Standards (財)日本規格協会が編集
主要外国規格 AISI American Iron and Steel Institute アメリカ鉄鋼協会が制定
ASTM American Society for Testing and Materials アメリカ材料試験協会が制定
BS British Standards 英国規格協会が制定
DIN Deutsche Industrie Normen ドイツ規格委員会が発行
国際標準化機構 ISO International Organization for Standardization

鉄鋼規格の見方

薄板系の主要な自動車用鋼板関連について(JISハンドブック1、2002年版より抜粋)

鉄鋼記号は、原則として次の3つの項目から構成されている。
(1)最初の部分は材質を示す(2)次の部分は規格名又は製品名を示す(3)最後の部分は種類を示す

項目 概要
材質 英語又はローマ字の頭文字、もしくは元素記号を用いて材質を表しているので、
鉄鋼材料は、S(Steel:鋼)又はF(Ferrum:鉄)の記号ではじまるものが大部分である。

※例外
SiMn(シリコンマンガン)、MCr(金属クロム)などの合金鋼
規格名又は製品名 英語又はローマ字の頭文字を使って板・棒・管・線・鋳造品などの製品の形状別の種類や
用途を表した記号を組み合せて製品名を表しているので、
S又はFの次にくる記号は、次のグループを表す記号が付くものが多い。
P:Plate(鋼板) U:Use(特殊用途) W:Wire(線材、線)
T:Tube(管) C:Casting(鋳物)
K:Kogu(工具) F:Forging(鋳造)
※例外
1)構造用合金鋼のグループ(例えばニッケルクロム鋼)はSNCのように添加元素の符号をつける。
2)普通鋼鋼材のうち棒鋼、厚板(例えばボイラ用鋼材)はSBのように用途を表す英語の頭文字をつける。
種類 材料の種類番号の数字、最低引張強さ又は耐力(通常は3桁数字)を表している。
但し機械構造用鋼の場合は主要合金元素量コードと炭素量との組合せで表している。
【例】
1:1種 2A:2種Aグレート 400:引張強さ又は耐力
A:A種又はA号 430:コード4、炭素量の代表値は30
鉄鋼材料の種類記号以外に、形状や製造方法などを暗号化する場合には種類記号に続けて
次の符号又は記号を付して表す。(省略)
【例】
SS400 「一般構造圧延鋼材」
S:Steel=鋼、S:Structure=構造、400=最低引張強さ
SPHC→ 「熱間圧延軟鋼及び帯鋼」
S:Steel=鋼、P:Plate=薄板、H:Hot C:Commercial=熱間圧延、一般材
SPHC-P P:一般的に規格符号的に良く使われているが、熱間圧延したままの鋼材(黒皮)に対して、
熱延後に酸洗ラインを通板して表面の酸化皮膜などを除去したものを指す。
P=Picling(酸洗)
SGCD 「溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」
S:Steel=鋼、G:Galvanized=亜鉛めっき、C:Cold、D:Drawn=冷延原板使用・絞り用
SA1E 「溶融アルミニウムめっき鋼板及び鋼帯
S:Steel=鋼、A:Aluminium=アルミニウムめっき、1E:1 Deep Drawn Extra=1種・深絞り用

熱間圧延鋼板

熱間圧延鋼板、冷延圧延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板の5品種の機械的性質について、もっとも代表的な性質である「引張強さ」「降伏点」と「伸び」などについて、JIS/1999年版より抜粋しましたので、ご紹介致します。

1.熱間圧延軟鋼板及び鋼帯(JIS G 3131より抜粋)
種類の記号 引張強さ(N/mm2 伸び(%)
1.2以上
1.6未満
1.6以上
2.0未満
2.0以上
2.5未満
2.5以上
3.2未満
3.2以上
4.0未満
4.0以上
SPHC 270以上 27以上 29以上 29以上 29以上 31以上 31以上
SPHD 270以上 30以上 32以上 33以上 35以上 37以上 39以上
SPHE 270以上 31以上 33以上 35以上 37以上 39以上 41以上
2.自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板及び鋼帯(JIS G 3134より抜粋)※平成3年1月1日から適用
種類の記号 引張強さ(N/mm2 降伏点又は耐力(N/mm2 伸び(%)
厚さ(mm)
1.6以上
2.0未満
2.0以上
2.5未満
2.5以上
3.25未満
3.25以上
6.0未満
SPFH 490 490以上 325以上 22以上 23以上 24以上 25以上
SPFH 540 540以上 355以上 21以上 22以上 23以上 24以上
SPFH 590 590以上 420以上 19以上 20以上 21以上 22以上
SPFH 540Y 540以上 295以上 24以上 25以上 26以上
SPFH 590Y 590以上 325以上 22以上 23以上 24以上
3.自動車用構造用熱間圧延鋼板及び鋼帯(JIS G 3113より抜粋)
種類の記号 引張強さ(N/mm2 降伏点又は耐力(N/mm2 伸び(%)
厚さ(mm)
6mm未満 6mm以上
8mm未満
8mm以上
14mm未満
1.6以上
2.0 未満
2.0以上
2.5 未満
2.5以上
3.15未満
3.15以上
4.0 未満
4.0以上
6.3 未満
6.3以上
SAPH 310 310以上 (185以上) (185以上) (175以上) 33以上 34以上 36以上 38以上 40以上 26以上
SAPH 370 370以上 225以上 225以上 215以上 32以上 33以上 35以上 36以上 37以上 25以上
SAPH 400 400以上 255以上 235以上 235以上 31以上 32以上 34以上 35以上 36以上 24以上
SAPH440 440以上 305以上 295以上 275以上 29以上 30以上 32以上 33以上 34以上 22以上

※( )内の数値は参考値を示す。

冷間圧延鋼板

1.冷間圧延軟鋼板及び鋼帯(JIS G 3141より抜粋)
種類の記号 引張強さ(N/mm2 伸び(%)
呼び厚さによる区分(mm)
0.25以上 0.25以上
0.40未満
0.40以上
0.60未満
0.60以上
1.0未満
1.0以上
1.6未満
1.6以上
2.5未満
2.5以上
SPCC 270以上 (32以上) (34以上) (36以上) (37以上) (38以上) (39以上)
SPCD 270以上 34以上 36以上 38以上 39以上 40以上 41以上
SPCE 270以上 36以上 38以上 40以上 41以上 42以上 43以上

※1.SPCCは原則として引張試験値は適用しない。ただし、注文者から指定された場合(SPCCT)は、()内の数値を適用する。
 2.厚さ0.6mm未満については、原則として引張試験を省略する。
 3.この表は幅30mm以上のものに適用する。
 4.SPCEの標準調質の鋼板及び鋼帯で非時効性の指定のある場合(SPCEN)は、製造工場出荷後6ヶ月間、非時効性を保証する。

2.自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板及び鋼帯(JIS G 3135より抜粋)※平成3年1月1日から適用
種類の記号 引張強さ(N/mm2 降伏点又は耐力(N/mm2 伸び(%)
厚さ(mm)
0.6以上
1.0未満
1.0以上
2.3未満
SPFC 340 340以上 175以上 34以上 35以上
SPFC 370 370以上 205以上 32以上 33以上
SPFC 390 390以上 235以上 30以上 31以上
SPFC 440 440以上 265以上 26以上 27以上
SPFC 490 490以上 295以上 23以上 24以上
SPFC 540 540以上 325以上 20以上 21以上
SPFC 590 590以上 355以上 17以上 18以上
SPFC 490Y 490以上 255以上 24以上 25以上
SPFC 540Y 540以上 245以上 21以上 22以上
SPFC 590Y 590以上 265以上 18以上 19以上
SPFC 780Y 780以上 365以上 13以上 14以上
SPFC 980Y 980以上 490以上 6以上 7以上
SPFC 340H 340以上 185以上 34以上 35以上

※SPFC780Y、SPFC980Yの伸び値の適用
厚さは、0.6mm以上1.0mm未満1.0mm以上2.3mm以下をそれぞれ0.8mm以上1.0mm未満、1.0mm以上1.4mm以下とする。

溶融亜鉛めっき鋼板

溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3302より抜粋)めっきの種類は、両面等厚の非合金化及び合金化めっきの2種類とする。

1.降伏点、引張強さ、伸び(熱延原板を用いた場合)
種類の記号 降伏点(N/mm2 引張強さ(N/mm2 伸び(%)
SGHC
SGH 340 245以上 340以上 20以上
SGH 400 295以上 400以上 18以上
SGH 440 335以上 440以上
SGH 490 365以上 490以上 16以上
SGH 540 400以上 540以上

※SGHCは、通常、降伏点 205N/mm2以上,引張強さ270N/mm2以上である。表示厚さ1.6以上6.0以下

2.降伏点、引張強さ、伸び及び非時効性(冷延原板を用いた場合)
種類の記号 降伏点(N/mm2 引張強さ(N/mm2 伸び(%)
表示厚さ(mm)
0.25以上
0.40未満
0.40以上
0.60未満
0.60以上
1.0未満
1.0以上
1.6未満
1.6以上
2.5未満
2.5以上
SGCC
SGCH
SGCD 1 270以上 34以上 34以上 37以上 38以上
SGCD 2 270以上 36以上 38以上 39以上 40以上
SGCD 3 270以上 38以上 40以上 41以上 42以上
SGC 340 245以上 340以上 20以上 20以上 20以上 20以上 20以上 20以上
SGC 400 295以上 400以上 18以上 18以上 18以上 18以上 18以上 18以上
SGC 440 335以上 440以上 18以上 18以上 18以上 18以上 18以上 18以上
SGC 490 365以上 490以上 16以上 16以上 16以上 16以上 16以上 16以上
SGC 570 560以上 570以上

※1.SGCD 3の板及びコイルで非時効性の指定がある場合は、製造工場出荷後6ヶ月間非時効性を保証する。
 2.表示厚さ0.25mm未満については、引張試験を行わなくてもよい。

参考:SGCCは、通常、降伏点205N/mm2以上で、引張強さ270以上である。SGCHは、焼きなましを行わない材料で、通常、ロクウェル硬さ85HRB以上、又はビッカ-ス硬さ170HV以上(試験荷重は任意とする)である。

電気亜鉛めっき鋼板

電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3313より抜粋)

1.降伏点、引張強さ、伸び(熱延原板を用いた場合)
種類の記号 降伏点又は耐力(N/mm2 引張強さ(N/mm2 伸び(%)
表示厚さ(mm)
1.6以上
2.0未満
2.0以上
2.5未満
2.5以上
3.15未満
3.15以上
3.2未満
3.2以上
4.0未満
4.0以上
4.5未満
SEHC 270以上 29以上 29以上 29以上 29以上 31以上 31以上
SEHD 270以上 32以上 33以上 35以上 35以上 37以上 39以上
SEHE 270以上 33以上 35以上 37以上 37以上 39以上 41以上
SEFH 490 325以上 490以上 22以上 23以上 24以上 24以上 25以上 25以上
SEFH 540 355以上 540以上 21以上 22以上 23以上 23以上 24以上 24以上
SEFH 590 420以上 590以上 19以上 20以上 21以上 21以上 22以上 22以上
SEFH 540Y 295以上 540以上 24以上 25以上 25以上 26以上 26以上
SEEH 590Y 325以上 590以上 22以上 23以上 23以上 24以上 24以上
SE 330 205以上 330-430 26以上 26以上 26以上 26以上 26以上 26以上
SE 400 245以上 400-510 21以上 21以上 21以上 21以上 21以上 21以上
SE 490 285以上 490-610 19以上 19以上 19以上 19以上 19以上 19以上
SE 540 400以上 540以上 16以上 16以上 16以上 16以上 16以上 16以上
SEPH 310 (185以上) 310以上 33以上 34以上 36以上 38以上 38以上 40以上
SEPH 370 225以上 370以上 32以上 33以上 35以上 36以上 36以上 37以上
SEPH 400 255以上 400以上 31以上 32以上 34以上 35以上 35以上 36以上
SEPH 440 305以上 440以上 29以上 30以上 32以上 33以上 33以上 34以上

※( )内の数値は参考値を示す。

2.降伏点、引張強さ、伸び及び非時効性(冷延原板を用いた場合)
種類の記号 降伏点又は耐力(N/mm2 引張強さ(N/mm2 伸び(%)
表示厚さ(mm)
0.40以上
0.60未満
0.60以上
1.0未満
1.0以上
1.6未満
1.6以上
2.3未満
2.3以上
2.5未満
2.5以上
SECC (270以上) (34)以上 (36)以上 (37)以上 (38)以上 (38)以上 (39)以上
SECD 270以上 36以上 38以上 39以上 40以上 40以上 41以上
SECE 270以上 38以上 40以上 41以上 42以上 42以上 43以上
SEFC 340 175以上 340以上 34以上 35以上 35以上
SEFC 370 205以上 370以上 32以上 33以上 33以上
SEFC 390 235以上 390以上 30以上 31以上 31以上
SEFC 440 265以上 440以上 26以上 27以上 27以上
SEFC 490 295以上 490以上 23以上 24以上 24以上
SEFC 540 325以上 540以上 20以上 21以上 21以上
SEFC 590 335以上 590以上 17以上 18以上 18以上
SEFC 490Y 225以上 490以上 24以上 25以上 25以上
SEFC 540Y 245以上 540以上 21以上 22以上 22以上
SEFC 590Y 265以上 590以上 18以上 19以上 19以上
SEFC 780Y 365以上 780以上 13以上 14以上 14以上
SEFC 980Y 490以上 980以上 6以上 7以上 7以上
SEPC 340H 185以上 340以上 34以上 35以上 35以上

※1.SECCは通常引張試験を適用しない。ただし、注文者から要求のある場合は、()内の数値を適用する。
 2.SECC、SECD及びSECEの厚さ0.6mm未満については、通常引張試験を省略する。
 3.SECC、SECD及びSECEについては幅30mm以上のものに適用する。
 4.SECEの標準調質の板及びコイルで非時効性の指定がある場合は、製造工場出荷後6ヶ月間、非時効性を保証する。

溶融アルミニウムめっき鋼板

溶融アルミニウムめっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3314より抜粋)

伸び
種類の記号 引張強さ(N/mm2 伸び(%)
厚さ(mm)
0.4以上
0.6未満
0.6以上
1.00未満
1.00以上
SA1C 【参考値】275以上
SA1D 30以上 32以上 34以上
SA1E 34以上 36以上 38以上
SA2C

※引張強さは、参考値とし、その値は275N/mm2以上とする。