【問1】 鋼材に関するコンプレーン、クレームとは,具体的にどういうものがありますか。
 
※コンプレーンとは単に不具合発生であり、クレームとは返品,加工賃請求、信用失墜保証等金銭的な処理を
   伴う場合を意味します。
   つまり、どちらか一方だけに、明らかに全面的に非があると言えず、また被害も軽微な場合、販売担当者の
   「今後このようなことが発生しないよう十分注意します」というような謝罪の言葉または始末書的対策書提出で
   一件落着となるケースがみられますが、以下そういうケースをコンプレーン処理とし、それ以外をクレーム処理と
   呼ぶこととします。
【答】 【主に鋼材およびその加工に起因するもの】
 サビ、キズ、寸法不良、キャンバー、対角不良、油焼け、メッキ不良、板厚不良、梱包不良、バリ、
 フラット不良、巻き不良等。

【主に実務ミスに起因するもの】
 指定納期に間に合わない、注文数量をオーバーする納品、注文数量に不足する納品、規格間違い、
 板厚間違い、寸法間違い 納品場所間違い、トラック指定ミス(4トン車しか入れない工場にトレーラー
 が行ってしまった等)、積み込みミス(リフト降ろしの所に クレーン降ろし対応の積み込みをしてしまった)、
 指定した梱包をしていない、指定ラベルを使っていない等。

 不具合とは、大体上記のようなことであろうと考えられますが、それがクレームとして処理されるのか
 コンプレーンの段階で終わるのか、いずれにしろその判断基準を明確化(受注内容の細分化、明文化、
 フォーム化)し、発注、受注、および情報のやりとりを 記録化(メール)することによって、購入企業だ
 けでなく販売側の企業にとっても前向きな処理となると考えます。

【問2】 クレームを第三者に依頼するメリットは?  
【答】  客観的な原因がはっきりすることです。
クレームの発生は、販売側にも購入側にも大きな痛手であり、特に販売企業にとっては信用失墜という死活
問題的代償を払うことになる以上、客観的判断を求めるのは当然と考えます。
 また現状のシステムの問題点を分析し、少なくとも同じクレームを二度と起こさない新しいシステムを構築す
る上でも、第三者の意見が必要ではないのでしょうか。

【問3】  クレームを未然に防ぐ最良の方法は?
【答】  鐵は、長い間、売り手市場的なところがありました。
 確かに、鐵の製造には巨大な設備が必要であり、契約(申し込み)に基づいた品質、納期、単価、量を機動的
に変更できる性質をあまり持ち合わせていないように思われます。
 よって、無理して支給材から自給材に切り替えると、大変なリスクを抱え込むことになるとの考え方には説得
力があり、大方、真実であると考えます。
 支給材を有償であれ、無償であれ受けていれば、鋼材に関するクレームの大半は、賃加工主体である板金
プレス企業には無関係であり、実に簡単、明白なクレーム防止法と言えます。

 しかし、国内製造業が、大量生産から高付加価値の小ロット、多品種、短納期生産にシフトする状況にあっては、
どうしてもよりスポット的な鋼材発注(申し込み契約品でない)が多くなるのは避けようがなく、店売り市場から自
家調達(自給)する必要性が発生すると思われます。
 その際のリスクをあまり経費をかけずに(今までのように人件費の高い専門的なバイヤーを複数置かずに)回避
 する手段としてはインターネットを通じた仕入れの検討をぜひお薦めします。

 フォームとメールを使った受発注および確認業務のやりとりは、明確なサービスのメニュー化につながり、取引
業者比較選別の判断基準となるとともに、やりとりが記録されることにより「言った」、「いや聞いてない」等の無意
味な混乱と時間の無駄も省け、結果的にクレーム防止と効率的な仕入業務の確立に繋がると考えます。

【問4】 ミルシートとは?
【答】  鉄鋼メーカーが、規格が指定された鋼材を受注した場合に、その製造結果が指定された規格などの要求事項を満
足していることを証明した書類のことで、一般に「ミルシート」と呼ばれています。
 正式には「鋼材検査証明書」(Inspection Certifcate)、又は単に「検査証明書」と言います。
 発行者は、慣例としてその製品を製造したメーカーの製造箇所の品質管理部門が行います。

 内容は、商社名/需要家名、契約番号、商品名、証明書番号などの一般事項のほか、寸法、員数、質量、検査番号、
めっき量(表面処理品の場合)、引張試験値(引張り強さ、降伏点、伸びなど)、化学成分(5元素 C,Si,Mn,P,S)など
の製造実績値が記載されていいます。

 尚、「鋼材検査証明書」は発注者が要求(項目も)した場合にのみ発行され、鋼材価格の他に「鋼材検査証明書」発行
費用を請求される場合があります。

【問5】 どうしてミルシートは必要なのですか、また、ミルシートが無い鋼材とはどんなものですか
【答】  規格の無い鉄板は鉄屑であり、鉄鋼メーカーが規格を証明する唯一の証明書がミルシートである以上、当然、受注
企業(販売企業)は受注先企業(販売先企業)に対して、ミルシートの提出義務が生じます。

 尚、切板やコイル等に添付されているラベルは、シャーリング工場、レベラ―工場,スリッター工場で母材(鉄鋼メー
カーが製造したままの大きな重量のコイル)を加工した際に母材規格を転記したものであり、鉄鋼そのものを製造した
鉄鋼メーカーが規格を証明する為に作成したものではありません。

 実際の流通現場では、1級品、2級品、相当品等々と鋼材のランク付けがされていますが、大別すれば鉄鋼メーカ
ー(新日鐵等の鉄鋼製造企業)が規格保証を行うミルシート付き材料か、ミルシートが無い材料のどちらかです。

 一級品は一般材と言われる材料でも一般規格(SPHC、SPCC-SD等)の規格品であり、当然ミルシートは発行されま
す。
 ただ、使う材料の中身だけから言えば、ミルシートが無い材料は全て1級品でないとは言い切れません。
ミルシートの無い材料を調べてみると、機械的特性値、成分値等の検査結果において、ミルシート付き1級品の規
格に該当する場合がほとんどです。
 特に1級オーバーロールと言われるものは、ミルシートは無いが基本的にメーカー在庫品であり中身は1級品と
言えます。



STEELUNIONデータベース